はじめに

病気によって、家族の対応は異なります。
名前は似ていますが、「うつ病」と、他の病気の「うつ状態」は、異なります。
以下に述べるのは、「うつ病」の場合ですので、ご注意ください。
病気が異なれば、当然、ご家族の対応も異なります。

理解が第一

まず、病気を否定せず、十分理解を深め、病気を受け入れてください。
うつ病になったことを否認せず、受け入れてください。
家族が病気になったことは、つらいことですが、家族が理解し、受け入れないと、本人はもっとつらくなり、治療が長引きます。
家族の適切な理解、対応が、早い治癒の大きな手助けとなります。

見守りが第二

過干渉、過保護はだめです。見守りに徹してください。
心配しすぎて家族も精神的に不安定になることもあり、そうなるとお互いに悪影響を与えてしまいます。
分かっているつもりでも理解が不十分ですと、無意識のうちに怠けていると思って、いらいらしてしまったり、非難してしまうこともあります。
また、うつ病になると、音や人の声がうるさく聞こえ、会話がわずらわしくなってきます。必要最低限の声かけ、会話が、本人にとってはラクな場合が多いのです。

一人暮らしの場合

東京では、一人暮らしのかたも多いですが、一人暮らしのほうが、気楽に休養が取れるという方もいれば、一人暮らしですと、食事も不規則になり、生活のリズムが乱れてしまうことも少なくありません。
一人暮らしを続けるか、実家に戻るか、どちらが良いかはケースバイケースであり、一長一短です。実家が比較的近くの場合は、自宅と実家を行ったり来たりすることも良いようです。
どちらかゆっくり休養できるか、ご本人とよく話し合ってください。

調子を聞く事

うつ病のかたは、日々調子が異なります。1日のうちでも、午前と午後では、調子が異なります。
そのときの調子は、本人でも、その日、その時になってみないと分かりません。
そのつど、表情を見たり、調子を聞いたり、状態の把握に努めてください。

少し良くなってきたら

疲れが取れて、少し良くなってきたら、テレビを見たり、会話をしたり、外出したいという元気が少し出てくるようになります。
特に外出は、一人ではなかなか億劫ですが、ご家族と一緒に、まず近い距離から始めれば、気分転換につながることもあります。
さらに調子が良くなってきたら、少し遠出して、買い物や、場合によっては、温泉などに行ってみたくなるかもしれません。
本人の気持ちを聞いて、声をかけてみてはいかがでしょうか。

薬の服用について

家族が病気になって、毎日薬を飲むことに対し、心配し、抵抗感をもたれる家族が少なくありませんが、うつ病は、脳の働きのバランスが崩れた状態、つまり脳の病気です。
病気ですから、まずは、薬を飲まないと良くなりません。
しかも、薬の使用には、「十分な量、十分な期間」という鉄則があります。薬の量は、その方によってそれぞれ異なります。
薬は少なければ良いと勘違いされている方が多いのですが、不十分な薬では、治療がだらだらと長引いてしまいます。
一般に、うつ病では、作用の異なる何種類かの薬を組み合わせて飲むことが多いのです。薬の服用量が多いからといって、心配しないようにしてください。

抗うつ薬の特徴

効果がでるまで、数週間かかります。
依存性を心配されるかたが、非常に多いのですが、医師の指示を守れば、大きな問題はありません。
良くなってからも、再発予防のため、6ヶ月以上は服用する必要があります。
再発の場合、今後の再発予防のため、2年以上の服用継続が必要と言われています。
うつ病は、ゆっくりじっくり気長に治していく病気です。あせらずにいきましょう。